大阪信愛高校「Dear 〜「ありがとう」を君に」を見て。

まず、初めに舞台に入った時の机や椅子の置き方にびっくりしました。荒れているというか、今思えば脚本そのものを表しているのではないかと思え、見た当初はどんな劇が始まるのだろうかとワクワクさせて頂きました。

前座では笑わせて頂きました。且つ要領よく簡単に済まされていたので、聞く側としては楽な気持ちで聞けました。

そして本番が歌から始まり、インパクトを受けました。照明も綺麗で、そこでも芝居に対する期待値を上げさせて頂きました。

照明に関しましては、その後も世界を区切っていたり、ピンサスで独白を盛り上げたり、目潰しや転がしの効果的な使用等とても素晴らしかったと思います。特に、幽霊二人組のシーンの緑と赤の対照的な照明がセンターをぶった切って綺麗に空間を表していた所が印象に残っています。

ブルー転中の装置運びも、日常の演技シーンとの切り替えが素晴らしく、まるで無機物のように動けており、挟まれたダンスからの捌けも格好良かったです。

平台を後ろに置くことによって、前後だけでなく高さも使った演技が出来ていて、見ていて飽きが来ませんでした。机の使い方も椅子に座るだけでなく、机に座ったり、叩いたりと楽しかったです。

演技面では、日常パートと非日常パートの切り替えが出来ており、差がはっきりしている為分かりやすかったです。その中でも日常パートの修造ネタ、中二病の臭いのするポーズやセリフ、オカルト部員の動きに笑わせて頂き、非日常パートでの考えさせられる台詞がとても印象に残りました。

姉妹の長台詞や、ラストシーンでは責任や償い、嘘をつく事、生き方など様々な大きなテーマについて考えさせられ、胸を打たれました。「愛すべき自分の人生」という言葉は特に今日この舞台を見られなかった方々にも伝えたい言葉だと思います。

そして、大切な台詞が繰り返し出される事で、伏線やこの台本の伝えたい事が観客にすんなりと入ってきて、全体的に重たいテーマのはずなのにゆったりと分かりやすく感じました。

設定がとても作り込まれていて、脚本もそうなのですが、それを演じる役者も自分の役に対して愛情を持っているように感じました。

信愛高校の皆様方、お疲れ様でした。

当番校 大谷高校